もしかしたら虹は、海だと思われるんじゃないかと思って、最初は俺に見せるのを躊躇ったのかもしれないな。

「完成したらまた見せてな、じゃ」

キャプテンの集合の合図が聞こえ、そう言い残し窓を閉めてグラウンドへ向かう。

見上げた空は、虹の絵と同じ青空だった。

「後はシュート練習して、ランニングして、今日は終了」

そう言い残して顧問は校舎へと入って行った。

教師も大変だな。デスクワークもあるだろうし、グラウンドは暑いし。

シュート練習は、キーパーが交代でゴールに立ち、ほかの選手のシュートを受ける。

やっと自分の番が回ってきた頃にはみんな暑さでバテてきて、まともなシュートが飛んでこなくなっていた。

シュートへ持ち込むパスが雑で打てない。変に力が入ってゴールの上を超えていくボール。ふざけて幼稚園児でも取れるようなコロコロボール。

もう、うんざりだ。

「おい、真面目にやれよ!これじゃ練習になんねーよ!」

同級生にはともかく、先輩達に向かって思わず叫んでしまい、一瞬その場が凍りつくのを感じる。

ヤバい……。

「は?こっちはずっと体動かしてんだよ!立ってんだけのキーパーと一緒にすんな!」

同級生のイラついた言葉に何かがプチッと切れたのを感じた。

「んだと?真面目にやってから言えよ!」

思わずそいつに食らいつく。

キーパーが突っ立ってるだけだと、ホンキで思ってんのか?そんなヤツにサッカーやる資格なんてない。