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『完成!』
そう朱里から連絡が来たのは1週間後、暑い日の午後だった。

早速次の日、朱里の家に寄って仕上がった絵を見せてもらってから、例のパンケーキの店に行く約束をした。

『楽しみ』

そう送ると、朱里からは浮かれて踊っているクマのスタンプが送られてきた。

気分を良くした私は夕飯後、夏休みの宿題をやっていた。私にもこんな単純なところもあるんだな、なんて。

外はとっくに日が暮れ、曇り空なのか月も見えなかった。真っ暗な空は、気持までも暗くしてしまいそうで明るい空色のカーテンを閉める。

すると珍しく私のスマホが鳴っているのが聞こえた。

メッセージではない、電話だ。

朱里?珍しいな……。

ベッドの上に転がっているスマホを手に取ると、着信相手は琥太郎だった。

琥太郎?

きっと明日俺も一緒に行っていいか?とか聞かれるんだろう。そういえば琥太郎もパンケーキ食べたいって言ってたな。

「はい、もしもし」


「…………」

「琥太郎?」

ガヤガヤと騒がしい周りの音が琥太郎の声を消していた。

「……虹……?」

「うん、どしたの?どこにいるの?」

「……虹……」

「ん?」

ガヤガヤとした騒がしさが、私の胸をざわつかせる。



「……朱里が……死んだ」