急いで着替えを済ませて教室へ戻ると、まだ誰もが興奮冷めやらぬ感じで盛り上がっていた。

1番、苦手な雰囲気かも。

ウチのクラスはサッカーチームが優勝したらしく、その武勇伝を語る男子達の声が響いている。

「まず俺がコーナキックから一点決めたんだ」

一際目立つ大きな声で話しているのは、私を絵描きマンと言い放った彼だ。開会式ではあんなにダルそうだったのに。ほんと、分かりやすいんだから。

「ウチらもさ、一回戦は勝ったんだよねー?虹!」

「ああ、うん」

奥本くんの後ろの席の女子が、急に私に振るから一瞬焦ってしまう。近くには私しかバレーボールに出た子はいないから仕方なく、だけど。

「私、運動苦手だからさぁ。めっちゃ緊張したよ、ほら、腕が真っ赤!」

「うん、私も」

運動苦手、緊張もしたし、腕も真っ赤。一緒だよ。

「ホント、虹も真っ赤!虹は絵描いてるイメージしかないからなぁ、意外によく動いててびっくりしたよ」

「へぇ、そうなんだ」

自分の武勇伝の話しが逸らされてしまい、若干不服そうな奥本くんが適当に相槌をうっている。

こんな風に私の話題が会話に出てくるのはこのクラスでは初めてかもしれない。一応、褒めてくれてるみたいだし。