Tシャツと短パンに着替え、制服の窮屈さから開放されるといつもやっと自分に戻れた気持ちになる。

やはり外では気負ってしまっているのが自分でも分かる。

みんなはいったいどんな風に気持ちをコントロールしているんだろう。

朱里の冷静さ、琥太郎のポジティブさ、木下さんの明るさ。みんなはちゃんと、自分というものを持っているように見える。そう見えるだけなのかな?

船を自在に操れる舵のように。そんな風に簡単にコントロールできたらいいのに。

私はもう習慣になっている校内SNSのアプリを開く。まず、自分の投稿にイチからのイイねがついていることに安心する。

そしてそのイチの投稿をチェックする。そこには2つの新しい呟きが。

『早くテストおわんねーかな』

あはは、だね。

きっとテスト勉強の合間に呟いたのだろう。素直すぎて可愛くすら思える。もちろん、私も同じ気持ちだ。

『部活やりてー!』

次の呟きはもっと、素直だった。

思わず吹き出しそうになりながら2つの投稿にイイねを押す。

イチは、何の部活に入っているんだろう。きっと運動部だろうけど。

一瞬、美術部だったらどうしようと思ったが、部活やりてーなんて感じていそうな男子部員は見当たらなかった。

そして、今日の私の気持ち。

『ポジティブに、なりたい』

素直な、気持ち、願望。

イチからの反応があってからというもの、彼に見られているという意識は少なからず働いてしまっている。

それでも意識して、その時自分の感じたことをそのまま文字に起こすようにしている。イチが、そうしているように。