青色の光が薄暗い部屋に広がる。電気を点けていなかったことに今さら気づく。

翠みたいにSNSに投稿することはないけれど、周囲の勧めでいくつかのアプリは入れている。

きっともう、翠はさっきのパンケーキの写真をアップしているだろう。いいね!を押してやらないと、後で文句がくる。

翠の投稿には、パンケーキのアップ写真と、俺とパンケーキ。それぞれに、#アップルシナモン#ベリーベリー#彼と半分こ。#パンケーキと彼のコラボ#最高の組み合わせ。とハッシュタグがつけられている。

最高の組み合わせ……ね。

パンケーキは美味しそうに撮れている、さすがだ。

パパッとその投稿にイイねを押し、学校のアプリを開く。

俺がこのアプリを使っていることは誰にも言っていない。俺に繋がるようなことさえ書かなければ、誰にも特定されることはないだろう。

『一生懸命になって何が悪い?アツくなるのはダサい?本当は勝ちたかった』

精一杯の呟き。吐き出したその画面からは鈍い光が放たれ、壁や天井、俺の顔を照らす。

ふう、と大きくため息をつき画面を閉じようとすると、1つの新しい投稿がある表示がされているのに気づく。きっと俺と同時刻に投稿したヤツがいるんだろう。

何気なくその投稿に目をやる。

『今日は複雑な気分。少しだけ上がって、少しだけ下がった。みんなの笑顔は、眩しすぎる』

『ナナ』という名前のその呟き。

『みんなの笑顔が眩しい』

ナナは、笑顔でいられなかったのだろうか。上がったり下がったり……俺も一緒だよ。

いつもならサラッとスルーする他の奴の投稿。今日はなんとなく気になり、迷わずイイねボタンを押す。

「カズー!ご飯!」

「いまいくー」

おまえも、頑張れよ。そんな気持ちだった。