予想してなかった翠の言葉に思わず顔を上げる。

そんな俺の様子に気づいていない翠はそのまま話を続ける。

「スポーツ好きな男子って無駄に熱いよね。あ、別にバカにしてるんじゃないよ」

「はは、まあな。ちょっと暑苦しいか、女子から見たら」

「いや、たまにはいいけどね。一紫が熱くなってる試合、見たかったなぁ」

「やめろ、緊張する」

「えー?なんで?」

なんだかよく分からないけど嬉しそうな翠。

それじゃ結局、熱い俺がいいのか、適当な俺がいいのか分からないじゃないか。全国大会ならば熱くなってもいいってことか?

まさか翠にまで同じようなことを言われるとは思わなかった。

「お待たせしましたぁ!」

テーブルの上に置かれた2つのパンケーキを見て翠が大きな目をキラキラさせている。女子って本当に甘いもんが好きだよな。

待ってましたとばかりにパンケーキの写真を撮り始める彼女を、成すすべなく見守る。

「ほら、一紫も一緒に」

そう促され、クリームの乗ったパンケーキに顔を寄せて作り笑顔。

「ちょっとかたいなぁ、まいっか。載せていい?」

俺とパンケーキのコラボ写真を見せながら、いつもの上目遣い。

「いいよ、早く食べようぜ」

「うん!」

パンケーキが食べたいんだか、SNSでいいねが欲しいんだか。

翠はいつも両方だよ!と言うけれど、やっぱり俺には理解できない。

見た目が良くても味が良くなければ意味ない。