翠が見つけてきたパンケーキの店は、電車でふた駅行った場所にあった。真っ白な外装にグリーンの植物。

「翠が好きそうな店だな」

「でしょ?味も評判いいんだよ」

さすがに男の俺は入りにくいけと。案内された席は真っ白なソファの席で、また翠が喜んだ。

「うーん、どっちにしよ」

メニューを見ながら散々悩む翠を見て俺は。

「じゃ両方頼めよ、半分こしよ」

甘いものは苦手じゃないけど、こんもりと盛られたクリームを見たら、どれ食べても同じなんじゃないかと思えてしまう。

「ほんと?じゃあ、ベリーベリーと、アップルシナモンね!」

「うん、いいよ」

嬉しそうな彼女を見ると、いい彼氏になれてる気がして満更でもない。

「そうだ!選手宣誓かっこよかったよ!」
「そっか?」

メニューをテーブルの端に置きながら少しドキッとした。

「みんなが翠の彼、かっこいいって言ってくれた」

「いや、そんなことないけど」

よかった。翠が良く思ってくれたならそれでいい。

「ふふ、照れてんの」

「やめろよ」

そりゃかっこいいって言われて嫌な気分になる男はいないさ。

「バスケ、準優勝だったんだね。惜しかったねー」

各競技の優勝、準優勝クラスは閉会式で表彰されるから翠も結果は知っている。

「うん、終了間際に俺が投げたパスを植木が取れなくて相手に取られちゃって」

「あー、そうか」

「でも、なんかみんなと一つになれたって感じして、よかったよ」

途中までは、そう感じられてたんだよな、確かに。

「あはは、単純だなぁ男子は」

「え?」

「ただの球技大会だよ、全国大会じゃあるまいし」