円陣を組み、キャプテンである俺は一度ゆっくりと息を吐き、全員の顔を見渡す。

「絶対、勝つぞ」

その声に全員が大きくうなずく。

俺たちのクラスは順調に勝ち進み、とうとう決勝戦にまでコマを進めていた。

相手は10組。もちろん相手もここまで残ってきた強いチームだから、そんな簡単には勝てないことは分かっている。

それでもやっぱり俺は、勝ちたい。優勝と準優勝では、全然違うんだ。みんなもきっと、そう思っていると信じてる。

試合は思っていた通り互角の勝負で、お互いに点を取り合うシーソーゲームとなっていた。

みんな全力で走り、声を出し、パスをつなぐことに集中する。

朝から慣れない競技の試合続きで正直体力は限界だった。

残りわずかとなった試合時間。俺たちのクラスは相手チームに三点のリードを許していた。

もう、時間がない。

誰もが焦りの表情を見せる中、俺に回ってきたボール。ここからではシュートは狙えない距離だ。

そして相手も一筋縄ではなくまたもやディフェンス陣に囲まれる形となってしまう。
くそっ!どうする?

ディフェンス陣の隙間から見える見方にも1人相手チームのマークが付いていて、パスをしても遮られる可能性が高い。

俺はそいつと目を合わせ、誰もいない空いているスペースに向かってボールを投げ込む。

そいつが走り込んでパスを受けてくれることを願って。そこからシュートが決まればスリーポイント、同点に追いつく。