「おまえ、やるな。なに張り切ってんだよ」

同じ学年のヤツが汗を拭きながらからかうように言う。

「別に、張り切ってなんかねーよ。たまたまだよ」

「だよなぁ」

あはは、と笑いながら肘でオレを突く。
張り切るって……。オレはちゃんと練習しただけだ。特別勘がいいわけじゃないし、上手いわけでもない。試合ではこんなにうまくいくわけないし。

みんな、強くなりたいから練習してるんじゃないのか?

「なんか、おまえ見てたら去年の3年思い出したよ」

現3年生の先輩がまだからかうように声を掛けてくる。

「去年の?」

「なんかさ、無駄にアツくてさ。大して強くないくせに。絶対勝つぞ!なんて気合い入れて。サッカーはチームワークだ!なんてさ」

「あー、言ってたよなぁ。正直、付いていけねーって思ってたよ」

そうだ。

オレが知ってるこの学校のサッカー部はまさに、オレの理想だった。アツくて、みんなが1つになってて……なのに……。

「やめて下さいよ、オレそんなんじゃないっすよ」

「あはは、だよなぁ。ごめんごめん」

「あはは、マジアツすぎっすよ、それ」

スポーツで、アツくなって何が悪い?かっこ悪いのか?まじめに練習もしないで適当に試合して負ける方がよっぽどかっこ悪い。

こんな、こんなチームじゃない。


こんなはずじゃなかったのに。


胸の奥が、燃えているようだ。