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「集まってもらったのは、来週行われる球技大会の選手宣誓を君たちの中からやってもらいたいからだ。誰か、立候補いないか?」

いるわけねーじゃん。そんな空気が流れているのが分かる。

昼休み、校内放送で呼び出されたのは運動部の1年キャプテンたちだ。

「あー、じゃあ。ジャンケンするか」

そりゃそうだろうな、と。まだ入学してから一ヶ月ちょっと。名前も覚えていない、教頭の次にエライ先生が面倒くさそうに言う。

選手宣誓なんて、スポーツやってる奴にとったら一度はやってみたい、名誉なことだと思っていた。

だったら、オレがやります。そう言って手を挙げたらいい。今なら簡単に決まるだろう。

でも、それができない雰囲気だった。そんな人前で叫ぶなんて恥ずかしいこと、したいやつなんているわけねー。みんなの周りにはそんな言葉が浮かんでいる。

なんなんだ?みんな競技こそ違えどスポーツが好きでやってるんじゃないのか?

意味分かんねー。おかしいよ、こいつら。

そう思ってるのに、前に出られないオレはもっとおかしい。

「最初はグー、ジャンケン……」

「じゃ、選手宣誓はサッカー部の小椋だな、この紙に書いてあることを暗記してゆっくり大きな声で読んだらいいだけだから、頼んだぞ。じゃ、解散」

解散、の部分だけ声が大きいのはなぜだ。

「ドンマイ」

野球部も、バスケ部も。みんながオレの肩を叩いてねぎらう。

ジャンケンに負けてしまったオレの手には先生から渡された一枚のプリント。並べられている言葉はだいたい想像がつく。