なぜか2人で秋の味覚について話しながら駅までの道を歩いていると、後ろから軽快に走る足音が聞こえてきた。

「朱里、虹!今帰り?」

「お、琥太郎。今日は寄り道しないの?」

同じく部活帰りの琥太郎だ。

「たまにはサッサと帰りたい時もあんだよ」

「ふーん」

どうでも良さそうな朱里の返事。

「どう?調子は」

野球部は、そこそこ強いらしいけど、春季大会は残念ながら2回戦で負けてしまったようだ。

「甲子園行ったら応援しに行くよ、ね、虹?」

「うんうん、行きたいね」

私にもたまには青春を味あわせてくれ。

「いや、予選もまだまだだし、1年のオレが出られるわけねーし」

「あー、そっか。そうだよね」

やっぱりスポーツっていいよね。運動ができる人が羨ましい。弟もサッカーに夢中だし。身体を動かすって健康的だし。

「ま、オレが3年になった時には2人とも甲子園に招待するよ、予定空けとけ」

「ほんとかな。まあ、期待しないで待っとくよ」

「予定って、あと2年も先じゃん」

さすがの私も突っ込んでしまう。

2年が、わりとあっという間なのは分かってる。

でも、私が2年後に何をしていて何を考えているのかなんて想像も出来ない。ううん、きっと何も変わってやしない。何も変わっていない自分を想像するのが、怖いんだ。

「じゃね、バイバイ虹」

「じゃな」

反対方向に歩く2人に笑顔で手を振る。

2年後、私の笑顔は増えているだろうか。