「大丈夫だよ。だって虹はにじだもん」

「ぐすっ……え?」

虹?私の名前?

そういえば小椋くん、初めて会った時に私の名前を褒めてくれたんだっけ。

「にじはさ、雨が降った後に晴れたら見られるんだろ?」

「……うん」

「だから、大丈夫。泣いた後には必ず笑えるから」

え……⁈

「そうだよ!一紫おまえいいこと言うじゃん」

鼓太郎がからかうように言う。

そっか……雨の後の日差しでできるにじ。

泣いている後には、きっと笑顔が待っている。

改めて思うと、いい名前だな。

「うん、そうだね」

「そうだそうだ!俺も鼓太郎も、それにあの背の高い友達もついてるから」

「……木下さんね、いい加減覚えてあげて」

「あはは」

私の気持ちを盛り上げようと一生懸命になってくれているのが分かる。

そんな気持ちだけでもう十分だよ。

「おい、俺も一応入れてくれよ」

「うん、嘉山くんもありがとうね」

鼓太郎が今、前を向けているのは嘉山くんのおかげ。そんな鼓太郎を見たら元気をもらえる。

また朱里の絵を見つめる。

私を見つめて笑う私の絵。

なんだかちょっと恥ずかしいけど。

きっと、大丈夫。

私は1人じゃないんだ。

笑顔の私の横には笑顔の鼓太郎。

優しく寄り添ってくれる小椋くん。

いつも一生懸命な嘉山くん。影で私を心配してくれる木下さん。

朱里以外にも、私の周りには私を助けてくれる人がいる。

こんな風に思えただけでも、私にとってはかなりの進歩だ。