法要を終え、朱里の家に戻ると、家の前に制服姿の嘉山くんと小椋くんがいた。

「おまえら、どうしたんだ?」

「あら、お友達かしら」

「すみません急に。僕ら朱里さんとは面識はないんですが、鼓太郎や虹と仲良くしてもらってて。なのでお線香だけでもあげさせてもらえませんか」

ちょっと緊張気味の小椋くん。しっかりしてるな。

虹と仲良く……なんて言われたらキュンとしてしまう。

「もちろんよ、朱里も喜ぶわ。そうだ、あなた達に見せたいものがあるから丁度いいわ」

「見せたいもの?」

鼓太郎と顔を合わせて首を傾げる。

なんだろう、見せたいものって。

リビングの片隅。明るい場所に置かれた朱里の仏壇。

神妙な面持ちで手を合わせる小椋くん。

顔を上げて笑顔の朱里の写真を見つめている。

「で、見せたいものって?」

「そうそう、朱里の部屋にあるの」

そう言って4人を案内するおばさんの後をついていく。

「俺らも見せてもらって大丈夫なんですか?」

遠慮気味に聞く嘉山くんに、もちろんよと朱里にそっくりな笑顔を見せるおばさん。最近おばさんの笑顔も増えてきたようで安心する。

「これね……朱里が最後に描いてた絵」

そう言ってクローゼットから取り出されたのは大きめのキャンバス。布が巻かれていて絵は見えない。

「あ……コンクールに出すって言ってた……」

いつになく真剣に取り組んでいたそれが、完成した直後に朱里は事故にあったんだ。

「そう。出来上がったら1番に鼓太郎くんと虹ちゃんに見せるんだってしまい込んじゃって……私たちも最近まで忘れてたのよ」

そうだ……蘇るあの日、朱里からの最後のメッセージ。

胸の奥がギュッと痛くなる。