バイバイと言いあってそれぞれの家へと帰って行く小学生たち。友だちと遊ぶこと、家で家族と笑い合うこと。色々なことが彼らを成長させる、そしてそれぞれの価値観を見出していく。

考えてみたら当たり前のことだ。

「翠を非難してるわけでも、否定してるわけでもないんだ。ただ、俺には分からないっていうだけで」

それだけは分かってほしい、翠が悪いわけじゃない。

「分かってるよぉ、私も同じだよ」

肩で俺の腕を突く。

こんなことも、もうきっとできなくなる。

「うん……」

お互いずっと手に持っていたままの缶に口をつける。

バレないように、ゆっくりと深呼吸。

「俺たち、このまま付き合ってても、きっとダメになるんじゃないかな」

少しの沈黙の間、翠は何を考えていたのだろう。

大丈夫、道は間違ってなんかいない。キラキラと輝く星空はもうすぐそこだ。

そして、頑張って進んだその先には、澄んだ青空が広がっている。

「そうだね、……私もそう思うよ」

結局、翠も俺と同じ気持ちだったんだ。

きっと彼女も少しのズレから現れたモヤモヤを抱えていたんだろう。

「そっか……」


「終わり、かな。私たち」


言いたくない言葉を、翠に言わせてしまった。

また涙で潤んでいる翠の目。もう泣く必要なんかない。

柔らかな翠の髪。そっと俺の肩に引き寄せる。

「そうだな……でも、終わりじゃない」

「え?」

「翠を好きな気持ちはこれからだって変わらない。ずっとずっと応援してる」

俺の言葉に顔を上げた翠の目はもう潤んではいなかった。

「うん、もちろん私も。自慢の元カレ!としてこれからもよろしくね」

「はは、翠らしいな」

「え、そう?」

たとえ恋人同士ではなくなっても、翠は翠。

いつまでも翠らしく、キラキラと輝いていてほしい。

そう、俺たちが乗る空飛ぶ船が浮かぶこの瞬く星空のように。