「……例えば?」

「そうだなぁ、俺がアツくなるのはやっぱり仲間かな。翠は、自分への評価」

「なにそれ……」

ダメだ、上手く言えないかもしれない。

これじゃ翠を否定しているみたいじゃないか。

「んー、俺がアツくなる要因と翠が頑張れる要因、起動力みたいなのが、違うってこと」

「それって価値観が違うってこと?」

「そーだな」

黙ってしまう翠。

きっと翠も、見つめているその夕焼けの空を漂っているのだろう。彼女の行く先も、闇であってはならない。


「実は、私もそれは感じてた」


振り向いて俺に視線を合わせた翠は、いつもの強い目ヂカラに戻っていた。

「え……?」

まさか、翠もそんなことを感じてたなんて。

「そんなに強くもないサッカー部を、まだ一年なのに必死になって勝とうとしたり……飯倉さんのこともそう。可愛そうだとは思うけど、ちょっとした知り合いなだけの一紫に何ができるんだろう、とか……ごめん酷いこと言ってるね」

サラッと吹いた風になびく翠の茶色い髪を見ながらその言葉を聞いていた。

翠の言う通りだった。

ちっぽけな俺に何ができる?常にそう思いながらやってきた。

「いや、その通りだよ。でも、たとえそれが叶わないとしても、何かしないではいられないんだ。俺の1番大事にしてるのは、そこなんだよ」

ほら、まだアツくなってしまった……まあでもこれでいい、素のままの俺をちゃんと見てほしい。

「うん、分かってるよ」

自然な笑顔の翠に少しホッとする。

「俺は、見た目とかフォロワー数とか周りの評価に、翠は振り回されてるように見えて……」

「あはは、まあ、否定はできないかな。でも、それが私の原動力になってるのも確かだし、それを一紫が理解できないのも分かる」