『自分を信じる』

1週間前、そう投稿した自分の呟きを何となく眺める。

そこには数件のイイねがつけられていたが、その中にナナからのものはない。

下のリビングからは、姉貴と父さんの笑い声が聞こえてくる。またビールでも飲んでるんだろう。

「ふあーっっ」

大きく伸びをしてベッドに飛び込む。

少し弾んだ体をひっくり返し仰向けになる。

『自分の信じる』

たった1週間前に俺が書いた呟きだ。

あの日サッカーの試合でみんなと1つになれた気がした日。気持ちは晴れやかで、これから色んなことが上向きになっていく、そんな気すらしていたのに。


翠のこと。

虹のこと。

透が言っていた翠に対する俺の想い。


こうやって仰向けになって視線を変えてみたところで答えなんか見えるわけがない。

ていうか、正解なんてないことくらい分かっている。

人の気持ちなんて、空模様以上にコロコロ変わるもんだ。

今の、自分の気持ちを信じるしかないんじゃないのか?

よし、とりあえず翠に連絡してみよう。声を聞いて、話しをして……その時の俺の想いを伝えればいい。


……とは言ったものの。

いざスマホを握り画面に浮かぶ翠の文字を見ると、いったい何をどう話したらいいのか。

「うーむ……」

しばらく画面を見ながら固まる。

とりあえず先に透に連絡してみようか。
透の声を聞いたら俺も少し冷静になれるかもしれない。

虹が学校に来ていないこと、鼓太郎は知っているのだろうか。