「もしかしたら小岳さんが虹に何か言ったとか……これは推測だけど」

「翠が?」

「こんなこと言ったら失礼だけど、小岳さんってちょっと気の強いところあるでしょ?だから、もしかしてと思って聞いてみたんだけど」

「……」

確かに翠はプライドも高くて気も強い。でも、自分はあんな風にクラスの男子と仲良くしてるのに、俺のことは許さないって、そんなのありか?

「何か、ごめん」

「いや、……確かに考えられなくはない、けど。まず俺に話すのが普通なんじゃないかな」

俺だって、翠のクラスメイトの男子にアレコレ言うつもりなんてない、言いたいけど。

「まあ普通はね。でも女子ってさ、何て言うか、女子を敵にしたがるってとこあるから……」

「あーうん、何となく分かる気がするけど」

さすがに、親友を亡くしたばかりの虹に詰め寄るなんてことはしないと思うんだけど。

「私の思い過ごしかもしれないから、こんなことで2人の仲がこじれたりするのは本意じゃないし」

「ああ、うん」

もう、若干こじれてたりするんだけど、俺の中では。

「ごめんね、結局虹のこと相談できるの小椋くんしかいなくて」

「うん、また何かあったら教えて欲しい」

虹のことも、翠のことも。

女子のことは女子の方が良く理解できるだろう。

「オッケー、ありがとね」

「ああ、じゃな」

彼女が教室に戻った後も、飲み物を買うことも忘れてその場に立ち尽くしていた。

『もう、分からない』

その呟きを投稿した日に何かあったのは間違いないな。それ以降、呟きどころか学校にも来ていない。

まさか、本当に翠が……?

いや、それは考えたくない。そんなこと翠がするわけない。

翠に聞いて確かめるか……?いや、余計にこじれるだけだ。

虹の連絡先すら知らない俺は、何もできないのか。