ーーピーピーピーーッ

その直後、響く試合終了のホイッスルに思わず大きなため息を吐く。

危なかった。同点ゴールを決められてもおかしくはない状況だった。

何度目かの深呼吸をした時、仲間が次々と俺の肩を叩き、危なかったな、よく止めたな、そう激励していった。

挨拶をするために整列したチームメイトはみんな笑顔で。

もちろん試合に勝てたことは嬉しいけれど、試合内容は手放しで喜べる状況ではない。

「ありがとうございましたっ」

キャプテンの声にみんなが続く。

グローブを脱ぐと、手にかいた冷や汗がヒンヤリと風に吹かれる。やっと気持ちも落ち着いたようだ。

思い思いに汗をぬぐったり水分を取っている仲間の元へ。

翠からもらった少し派手なスポーツタオルで汗を拭いていると周りの仲間たちが今終わったばかりの試合の話を始める。

「相手チーム、大したことなかったな」

「ああ、だな。三宅学園といい勝負したって聞いてたからもっと攻めてくると思ってたのにな」

確かに思っていたよりも相手チームのあたりは弱かった。

「いやいや、うちがレベルアップしてるんじゃねーの?」

いつも調子のいい先輩がみんなを盛り立てる。

「そうだよなぁ!」

「やっぱそれだな」

他のメンバーもそれに乗りみんなのテンションが上がっていくのが分かる。

なんとなくその上がっていくテンションの輪に入れずにいると、晴樹先輩が俺に目線を投げながら言った。

「でも最後は危なかったよなー」

「ほんとだよ、一紫が止めてくれなかったら追いつかれて今ごろPKだよ」

自分に視線が集まるのを感じる。

あの場面を俺の手柄にするのは何か違う気がして。

それでもみんなのテンションを下げるような発言をするのも本意ではない。