「っしゃ!」

我先にとボードを見た先輩達から声が上がる。

隙間から首を伸ばし1番下、ゴールのラインを見る。

《小椋》そこには確かに俺の名前があった。

「やった!」

思わず上げた声に隣にいる1年のキーパー2人が反応する。

「マジかよ、すげー」

「え?一紫かよ?」

そんな声に何も答えられないでいると、そこに先輩キーパーがやって来てポンと俺の肩を叩く。

「お前ならやれる、期待してるぞ」

「あ、はいっ」

今までほぼレギュラーを務めていた先輩からのその言葉が、俺に火をつける。

俺と同じ、熱い思いを持っているヤツもいる。そんな先輩からの激励はこれ以上ない力となる。

同級生からも次々と声がかかる。

みんなが騒がしくする中、これから俺が立つことになるゴールを見つめていると、横から小さな声が聞こえる。

振り返ってみるとそこには、普段からあまりヤル気も感じられない、レギュラー争いになんて興味がないと思っていたディフェンスの先輩が小さくガッツポーズをしていた。

え?なんだよ、喜んでんじゃんか。

思いがけず重なった視線に、その先輩は恥ずかしそうに笑顔を見せ、俺にグータッチを求めた。

「やってやろうぜ」

「はいっ!」

初めて見た先輩のヤル気。拳から伝わるアツい気持ち。

ああ、なんだよ。持ってるんなら出せよその気持ち。そんなもん見せられたらもう、勝つしかないじゃないか。

より一層、ふつふつと湧き上がる闘志。

「っしゃーっ!!やってやるぞー!!」

ピッチに向かいありったけの声を出す。