自分のやりたかったことを手に入れて晴れやかな表情を見せる翠。

もちろん自慢の彼女だ。自分にも俺にも、常に完璧を求める翠。

レギュラーを取って、正キーパーである背番号1を付けるのが夢で。それでアカウント名もイチ。1番の、イチ。

その夢は今でも変わらない。

でも、隣でチアリーダーの衣装の話をする翠のいうイチバンとは少し違う気がして。

自分だけが1番である必要なんてない。

インスタのフォロワー数がクラス一多いと喜ぶ翠。

自分の気持ちを自分のやり方で発していた結果がそれならばそれでいい。

ただ、常にフォロワー数やイイねの数を気にしている翠を間近で見ていると、その数を増やすことが生き甲斐になっていて。

それが悪いことだとは思わないし、人気のバロメーターなのだろうから気になるのも分かる。

でも、そのために映える写真を必死に撮ったりしているのを見ると、自分の気持ちなんてそこにはもうなくて。何か違うな、そう感じてしまう。

翠との、少しの価値観のズレみたいなことが最近気になってきたのは確かだ。

同じ1番でも、俺はずっとチーム競技をやってきて。自分が活躍できることも大切だけど、やっぱりチームとして勝たなければ意味がなくて。

それでも、同じサッカーをやる仲間であっても、チームの勝利よりも自分の活躍を重視しているように見えるヤツもいるのは事実で。

そこがチーム競技の難しいところだ。

そんなことは到底翠には理解できないだろうけど。