「……うん。琥太郎を心配した、同じ野球部の嘉山くんが、私に相談したいって……」

「それで何で一紫が出てくんのよ?」

同級生とは思えない、まるで先輩から怒られてる後輩みたい。こんな容姿だから自分に自信が持てるの?それとも小椋くんっていう自慢の彼氏がいるから?

「……あの、嘉山くんと私は面識がなくて……小椋くんも一緒にいいかって……」

違う。

私に自信がないからだ。

だから、こんな風に2人だけが偉そうにしているように感じてしまうんだ。

「は……?ますます意味分かんないんだけど?何でそこに小椋くんなワケ?」

「あ、えと……小椋くんとは、前に保健室で会ったことがあって……私のことを知ってて……」

薄い黄色のカーテンから、淡いオレンジ色の光が差し込み無機質な床に光の模様を作る。

少しの沈黙のあと、友達の方が私の拙い話をまとめるように言った。

「あんたと小椋くんに面識があったから、嘉山っていう子が小椋くんを誘ったってこと?」

「うん、まあ」

「自分から誘ったんじゃないから罪はないって言いたいワケ?」

声で分かるようになってきた。今の言葉は小岳さんだ。

どう捕らえられたって、私は事実を話すだけだ。

「そういう意味じゃ……」

「だからって、何で小椋くんと2人きりになったりするのよ。その嘉山って子と一緒に帰ったらよかったんじゃないの?」

遮られた私の言葉は目の前の2人に届くわけもなく、ふわふわと虚しく宙を漂う。