「なんで?」

思わず箸が止まる。木下さんとはなんの関係もない話だと思うんだけど。

「私さ……ちょっと虹のことが心配で……ほら、あの米村さんのことがあったから」

言いにくそうに話す木下さんは珍しい。

「……うん」

「だから前に虹が小椋くんと話してるの見て、小椋くんにちょっと虹のこと聞いたり、気にかけてほしいなんてお願いしちゃったんだよね」

「えっ?」

そうだったんだ。木下さんが小椋くんと私の話をしたことは聞いたけど、そんなお願いまでしてくれてたなんて。

「それで小椋くんと話してたんだよね?」

「うん、まあ……」

「私もさ、あの2人が付き合ってんの知ってたのに。何であんなお願いしちゃったかな……ほんとごめん」

それで、私と小椋くんが会ってたのは自分のせいだと思ったんだ。

「いや、でも……」

「ん?」

「木下さんのせいじゃないよ」

えっ?と向かいでお弁当を頬張る彼女の顔に疑問符が浮かぶ。

「だって、昨日小椋くんと会ってたのは琥太郎の話しをしてたからで……嘉山くんも一緒だったし」

私は、ついでだから。そう、ついでにちょっと話しをしただけだから。

「あー……琥太郎って野球部の?米村さんの幼馴染だって子でしょ?なんか学校来てないって聞いた」

さすが広い情報網を持つ木下さんだ。大体のことは把握してるから話が早くて助かる。