あれからイチからのメッセージはない。やっぱり気を悪くさせてしまったのかな……。

それでも、毎日とまではいかないけれど彼の呟きは投稿されていた。

『部活が休みの日に雨って、ダルい』
『人の気持ちって複雑だ』

昨日の投稿は2つ。

部活が休みだから遊びに行ったのだろう。そこで何かあったのかな?イチの悩みはいつもリアルで。思わず考えさせられることが多い。

複雑な気持ち。

まさに今の私だって、自分でも訳がわからないほど複雑だ。

『見上げた雨雲の上には、きっと青空が広がっている』

私が昨日投稿した呟きには、イチはイイねを押してくれている。私に完全に嫌気がさしたわけではなさそうで少しホッとする。

「行ってきます」

時計を見て慌ててタブレットをカバンにしまい家を出る。

昨日とは打って変わり晴れ渡る空。9月の陽射しはまだまだ暑く私を照らす。それでも昨日の雨で空気が一掃されたのか、頬をなでる風がかすかに涼しい。

私の心も雨上がりの空のようにとはいかないけれど、それでも昨日とは違うのを感じる。

それはやっぱり小椋くんのおかげで。

親友をなくした空虚な心を恋で埋めてしまうことには抵抗があったけど、この気持ちがもう止められないことくらい私だって知っている。


私は彼に恋をしている。


きっと、朱里だって応援してくれているはずだ。

私はもう癖になっている、空を見上げて深呼吸をした。