「俺も木下も、おまえのことが心配なんだよ」

絞り出すような声は私の精一杯の強がりも、全て見透かされているようで。心の奥が静かに震える。

「うん、ありがとう。私は大丈夫だよ。ちゃんと学校にも来れてるし」

分からないんだよ。どうやったらこの苦しみから逃れられるのか。苦しい胸のうちをここで全てさらけ出したりしたらきっと小椋くんを困らせてしまう。


「無理してるんじゃないか?」

優しい、優しい声。

なんで私なんかにこんなに優しくしてくれるの?

「……わかんない……」

「わかんないって……」

無理をしてるのかもしれない。自分の気持ち閉じ込めて、現実から目を逸らして。

でも……。

「でもね……私は私なりに、ゆっくりでいいから前を向こうって思ったの」

これは、ウソじゃない。

「うん」

相変わらず私の視線をしっかりと捉えている小椋くん。あなたの気持ちは本当に嬉しい。

「だから……」

見守っていて、ほしい。そばにそっと寄り添っていてほしい。

「ん?」

「……大丈夫」

だから本当に……。

「ありがとう」

薄いけれど、笑顔を見せることができたのは小椋くんの優しさのおかげ。

「うん……。俺にできることなんてないかもしれないけど、いつでも言えよ」

そして、力強い言葉は私にきっと勇気もくれる。