「あー!やっぱ待ってるしかねーのか?」

テーブルの上に肘をつき頭を抱えてしまう嘉山くん。

「まあまあ、落ち着けよ。そんなに心配なら一回会いに行ってみろよ」

早く以前のように琥太郎に学校に来て欲しい、一緒に野球をやりたい。そんな嘉山くんの思いは充分私にも届いていた。小椋くんもそれを感じているのだろう。

「うん、そうしなよ」

「琥太郎さ、誰にも会いたくないとか、虹が会いに行って迷惑だって感じだったか?」

小椋くんも琥太郎とは面識はないけれど、嘉山くんや私のために真剣に考えてくれているのが分かる。

「ううん。私もそれを心配してずっと会いに行けなかったんだけど、全然そんなことなかったよ」

私の言葉を聞いた小椋くんは、肘で隣の嘉山くんをほら!と小突いた。

「んー、そうだな。また今度会いに行ってみるか」

「そうだそうだ」

今度は軽く嘉山くんの肩を叩く小椋くんを見て急に思い出す。

「そうだ。琥太郎、たまに体動かしてるって言ってた」

「お!それいいじゃん!一緒にやれよ、透!」

私と小椋くんの言葉にやっと顔をあげた嘉山くんは、少し笑顔だった。

「うん、それいいな!そうしよう、それなら気使わずにできるかも。早速琥太郎に連絡してみる」

よかった。

仲間と一緒に体を動かすなんて、琥太郎にとってこれ以上の良薬はないだろう。