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数日後。

授業が終わった放課後。シトシト降る雨を鬱陶しく思いながら傘を持って教室を出ると、小椋くんと嘉山くんに声をかけられた。

「ちょっと時間あるかな?琥太郎のこと聞きたいんだけど」

「うん、大丈夫だけど……」

どうせこのまままっすぐ家に帰ってもダラダラとすごすだけだ。

嘉山くんが琥太郎のことを気にかけてくれてるのは嬉しいし、少しでもそれに手助けできるなら尚更だ。

でも、何で小椋くんも一緒?

頭に浮かんだ疑問はすぐに本人が解決してくれた。

「俺も一緒にいい?透とは同じ中学なんだ」

「そうなんだ、もちろんいいよ」

そっか、2人は知り合いだったのか。

思いもよらない2人との時間に、いつもより早い鼓動を感じながら言われるがままついていく。

「食堂でいいかな」

振り向く小椋くん。

「うん」

黙って歩く2人の後ろ姿。

朱里のことがあってからそれどころじゃなくなってしまったけれど、私は小椋くんに恋をしていた。気になり始めていた。

そのドキドキは今も感じてるけど、朱里がいた頃と同じようには受け止められていない自分がいる。

私の新しい恋の予感に喜んでくれていた朱里。応援してくれたり、慣れない恋の相談に乗ってくれる相手がいなくても、私はこの一歩を踏み出せるのだろうか。

朱里……やっぱり私にはあなたが必要だよ。

心のトゲにもう一度しっかりと鍵をかける。