休日だった次の日。

特別なことは何もしていないのに妙に疲れを感じてしまい、ようやくベッドから降りられたのは昼過ぎだった。

まだボーッとする頭でリビングへと降り、冷たい水で頭も身体も無理やり目覚めさせる。

空のサッカーの試合に行くと言っていたお母さんが私にもオニギリを用意していてくれたが、今は食べる気にならず、お皿ごと部屋まで持って上がる。

好きな曲をかけてベッドにもたれて座る。

何も飾り気のないシンプルな部屋にそっと置かれた私の描いた空の絵。

この絵が仕上がった時。弟の空に、この題名は『空』だよと言ったら少し恥ずかしそうに喜んだ。

その時はまだ、朱里がいて。

朱里にこの絵を見せたらどんな反応をするか楽しみにしていた。まさかこの絵を見せることさえできなくなるなんて。

チクチク痛む胸に気づかないふりをして、昨日久しぶりに投稿した呟きを思い出してタブレットの電源を入れる。

イチの新しい投稿はなかった。

今日も部活に励んでいるんだろうか。それでも私の呟きにはイイねをくれていた。それだけで心がポッと暖かくなる。

彼は私宛にはメッセージをくれていた。彼が私のメッセージに目を通し、一瞬でも知らない私のことを考えてくれた。

『よかった、ちょっと心配してた』

心配……?私を?

嫌われてしまったかと思ったのかな。もしナナが私だと分かったらきっとがっかりさせてしまうだろうけど、素直に嬉しかった。

私はイチのことを何も知らない。おそらくチーム競技の部活に夢中で、ちょっと熱い性格で。たまに自分を見失いそうなになったり、自信を持ったり……そんな高校生らしい悩みを持つ。私が知るのは彼のほんの一部だけ。

それでも私の気持ちが彼に届いていると思えるし、分かりやすい彼の気持ちも私には届いている。

『ごめんね、大丈夫です』

自分に言い聞かせるようにイチに送信をする。