今日はあまりいい気分ではない。
そりゃそうだ。嫌いな運動をさせられて、奥本くんにはからかわれて。
どうでもいい相手だと分かっているのに、あんなちょっとしたことを今になっても気にしている自分がイヤで。
大好きな青い色を何色か混ぜ合わせ水をたっぷり含ませた筆に取る。それを真っ白なキャンバスに。何の色もなかったそこには、グラデーションのように複雑な青の太い線が現れる。
うん、やっぱり今日の気分は複雑だ。
何度か同じ色の線が描けた時。
ガサガサと外から聞こえる音。おそらくここまでボールを飛ばしてしまった上手いのか下手なのか分からないサッカー部か野球部が、ボールを取りに来たんだろう、よくあること。
それでも、今日みたいな日はそんなことで集中が途切れてしまう。
ふぅ、とため息をひとつついて筆を置く。
「その青、すごく綺麗」
私の集中が切れたのが分かったのだろう、いつのまにか隣でデッサンをしていた朱里が、今描いたばかりの青い線を指差して言う。
「ああ、うん」
そういう朱里のキャンバスには、真ん中に大きな魚が描かれている。一瞬、えっ魚?と思ったが突っ込んで聞くのはやめる。
彼女も可愛らしい見た目とは違って、なかなか癖のある絵を描く。それにももう慣れたし。なにしろ私は、彼女の描く絵が大好きだ。
こうした、お互いを理解してるからこその距離感が心地よい。
そりゃそうだ。嫌いな運動をさせられて、奥本くんにはからかわれて。
どうでもいい相手だと分かっているのに、あんなちょっとしたことを今になっても気にしている自分がイヤで。
大好きな青い色を何色か混ぜ合わせ水をたっぷり含ませた筆に取る。それを真っ白なキャンバスに。何の色もなかったそこには、グラデーションのように複雑な青の太い線が現れる。
うん、やっぱり今日の気分は複雑だ。
何度か同じ色の線が描けた時。
ガサガサと外から聞こえる音。おそらくここまでボールを飛ばしてしまった上手いのか下手なのか分からないサッカー部か野球部が、ボールを取りに来たんだろう、よくあること。
それでも、今日みたいな日はそんなことで集中が途切れてしまう。
ふぅ、とため息をひとつついて筆を置く。
「その青、すごく綺麗」
私の集中が切れたのが分かったのだろう、いつのまにか隣でデッサンをしていた朱里が、今描いたばかりの青い線を指差して言う。
「ああ、うん」
そういう朱里のキャンバスには、真ん中に大きな魚が描かれている。一瞬、えっ魚?と思ったが突っ込んで聞くのはやめる。
彼女も可愛らしい見た目とは違って、なかなか癖のある絵を描く。それにももう慣れたし。なにしろ私は、彼女の描く絵が大好きだ。
こうした、お互いを理解してるからこその距離感が心地よい。