自分を好きになってあげる第一歩は自分の正直な気持ちに耳を傾けてあげることなのかもしれない。

自分を知り、ダメな部分も認めてあげること。

いまだに少しだけ強張った表情でわたしの答えを待っている藤原くん。

今の正直な自分の気持ちをわたしはメモ帳に書き込んだ。

【090-××××-×××× ID:●●××】

メモ帳を一枚破った。

そして、二枚目のメモにこう記した。

【私も藤原くんの連絡先が知りたい】

藤原くんはメモを受け取ると、「マジで?」と驚いたようにわたしを見つめた。

もちろんだよ、という意味を込めて笑いながら頷くと藤原くんは「今年に入って一番嬉しかった出来事かも」と言った。

「結衣の気が変わらないうちに登録するわ」

藤原くんは慣れた手つきでスマホを操作してわたしの連絡先を自分のスマホに入れ、メッセージを送ってきた。

【よろしく】というよくわからないお世辞にもあまり可愛くないキャラクターのスタンプを送ってきた藤原くん。

くすっと笑うと、「このキャラ、可愛いだろ?」と何かを誤解した藤原くんは真面目な顔で得意げに胸を張った。

やっぱり藤原くんには絵のセンスがな……いではなくて、個性的と思っておこう。

わたしは苦笑いを浮かべながら誤魔化した。