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「おい、朝のなんだあれ⁉︎」

入ってくるなり、源さんが僕を睨みつける。



時間は8時半。

やっと行列が終わったところで、僕も正直へとへとだった。みんな数は『2枚』だったけど、向こう側が見えないくらい女子学生たちで溢れかえっていたんだ。


あんこ、足りるかなぁ?

「俺はてっきり、変わり種に手を出しちまったかと思ったぜ」


楽さんが、しかめっ面で言った。

「カスタードとかな」と、亀さんが吐き捨てる。


「若者に媚びを売り出したか」

そう言う吾郎さんは、いつも変わった煎餅を売っている。

この間なんか『アボカド入り煎餅』を売ってたじゃないか。アボカドの苦味と醤油の辛さが混ざり合って、お蔵入りになった駄作だ。



「それが、テレビでやってたらしいんですよ」

このままじゃ、なぜか僕が悪者にされてしまうので、早めに真相を話すことにした。



『恋が叶うおまじない』として、たい焼きが出てきたらしい。

「頭か尾っぽ、同じところから食べたらその相手と恋が叶う」



だから、女子学生たちが押し寄せたんだ。

そう思うと、美代ちゃんがどこか落ち着きなかったのも頷ける。


きっと、恋をしていたんだろう。