煌めくある朝、いつもの挨拶をする。そして、一番早く着く私は、仲間を待っている。
ぼーっとしていると、声が聞こえてきた。それも、相変わらずの順番で。
私の次に着くのは、翔。
「あ、翔!おはよう!」
「おはよ」
合流した葉月も含め、私達は足早に歩いた。
いつもより早く出て晴斗を教室で待つことにしたのだ。なぜなら、話しかけるため。人が少ない方が、晴斗も私達も都合が良い。
「じゃ、じゃあ、晴斗が来たら、私から話しかけるね」
聞こえるか、聞こえないかぐらいの声で、話し合う。要注意しなければならない。
「頼んだぞ、沙月」
翔は他人事だ。そんな翔を見て、葉月は言う。
「私は、一緒に行くから」
「なっ、それだったら、俺も行くよ……」
乗り気ではない翔は、溜息をついた。
教室に着くと、まだ誰もいなかった。私達はそれぞれの机に荷物を置き、晴
斗を待つ。
ガラガラガラー。
教室の戸が開き、中に人が入ってきた。晴斗だった。私達三人に、見向きも挨拶もしない。
席に着くなり、本を読み始めた。そこで、葉月が合図を送ってきた。
――話しかけて。
――うん。
私は、二人に見守られる中、晴斗の席の前に立った。
「お、おはよう、晴斗!ひ、久しぶりだね!」
「……おはよう」
小さな声で返答する。
「あのさ、久しぶりだね。小学校の頃、以来だよ」
「……」
「ほら、葉月も、翔も来て」
「おう」
「うん!」
「今日は、朝から雨だね」
「体育の授業、つぶれるかな」
三人でどうでもいいことを口にする。
「沙月、おまえ、体育できんのか?」
「で、できるよ!翔にだって、葉月にだって負けないんだから!」
「そうか?」
翔が私の頭を小突く。
「痛い!」
「やめなよ、翔。晴斗は、どう?体育、苦手じゃないよね?」
すると晴斗が何か言った。
「…ち……な……ね」
「なに?晴斗?」
俯きながら言われると、聞こえない。すると、晴斗は大きな声で言った。
「あっち行け。話しかけんな。近づくんじゃねぇ」
「あ……」
「悪かったよ、晴斗。じゃあな」
翔が、呆然とする私の手を引き、葉月も共にその場を去った。