【翔 side】

 「葉月、おせーな」

 「本当にね。どうしたんだろう」

 俺は今、後輩とともに練習している。だが、葉月がいないため、バイオリンの調子が狂ってきている。

 「ま、とりあえず、練習再開だ」

 先生の指揮に合わせて、曲を弾きだす。

 「バイオリン、もっと強く」

 「チェロも、もっと伸ばして」

 「はい!」