Page:4
【葉月 side】
「ふぅ、疲れた」
私は今、補修を終えたところだ。本当に理数系が終わっている。いろんな意
味で。今からは、沙月と翔が待つ、吹部の活動場所へ行く。もうすぐコンクールだからだ。
「ひぃー」
一人伸びをして、片手にヴァイオリンを持つ。
――それにしても、晴斗のあの心変わりはなんだ?
自身に問い、答えを探す。
この間、沙月が学校に残ったときにでも、なんかあったのだろうか。いや、
でもなぁ。頭の中でぐるぐるといろいろなものがまわり始める。
――分からねぇ。
こんな口調をしてると、沙月に怒られそうだ。「葉月は、女の子でし
ょ!!」って。思い出すだけで、笑みがこぼれる。
――ま、いいか。なんか、幸せだし?
吹部の活動場所へ着くなり、勢いよく入っていった。
「遅くなってすいま、せ……」
私は目の前の光景を目に、静かに外へ出た。幸い、まだあの二人には気付か
れていない。もう一度、部室の窓から覗くと……。
――翔が、沙月に告白している――
そんなわけ、ない。翔は、私と両思いだったはずだ。
あれは確か、高校入学式の日。
【葉月 side】
「ふぅ、疲れた」
私は今、補修を終えたところだ。本当に理数系が終わっている。いろんな意
味で。今からは、沙月と翔が待つ、吹部の活動場所へ行く。もうすぐコンクールだからだ。
「ひぃー」
一人伸びをして、片手にヴァイオリンを持つ。
――それにしても、晴斗のあの心変わりはなんだ?
自身に問い、答えを探す。
この間、沙月が学校に残ったときにでも、なんかあったのだろうか。いや、
でもなぁ。頭の中でぐるぐるといろいろなものがまわり始める。
――分からねぇ。
こんな口調をしてると、沙月に怒られそうだ。「葉月は、女の子でし
ょ!!」って。思い出すだけで、笑みがこぼれる。
――ま、いいか。なんか、幸せだし?
吹部の活動場所へ着くなり、勢いよく入っていった。
「遅くなってすいま、せ……」
私は目の前の光景を目に、静かに外へ出た。幸い、まだあの二人には気付か
れていない。もう一度、部室の窓から覗くと……。
――翔が、沙月に告白している――
そんなわけ、ない。翔は、私と両思いだったはずだ。
あれは確か、高校入学式の日。