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 【葉月 side】

 「ふぅ、疲れた」

 私は今、補修を終えたところだ。本当に理数系が終わっている。いろんな意
味で。今からは、沙月と翔が待つ、吹部の活動場所へ行く。もうすぐコンクールだからだ。

 「ひぃー」

 一人伸びをして、片手にヴァイオリンを持つ。

――それにしても、晴斗のあの心変わりはなんだ?

 自身に問い、答えを探す。

 この間、沙月が学校に残ったときにでも、なんかあったのだろうか。いや、
でもなぁ。頭の中でぐるぐるといろいろなものがまわり始める。

――分からねぇ。

 こんな口調をしてると、沙月に怒られそうだ。「葉月は、女の子でし
ょ!!」って。思い出すだけで、笑みがこぼれる。

――ま、いいか。なんか、幸せだし?

 吹部の活動場所へ着くなり、勢いよく入っていった。

 「遅くなってすいま、せ……」

 私は目の前の光景を目に、静かに外へ出た。幸い、まだあの二人には気付か
れていない。もう一度、部室の窓から覗くと……。

――翔が、沙月に告白している――

 そんなわけ、ない。翔は、私と両思いだったはずだ。

 あれは確か、高校入学式の日。