【沙月 side】
 
 「ふーう。今日は勉強したぁ」
 
 図書館を出て、私は大きく伸びをした。後ろには、葉月、翔、晴斗がいる。

 「そうだね、沙月。今日は勉強したね」

 葉月が私の頭をポンポンしながら、そう言った。

 「おまえ、ほとんど俺たちに聞いてたじゃねーか」

 翔が不機嫌そうに、だけど優しい目をしながらそう言った。

 「ふふーん、ふふふんふーん」

 私は知らないフリをして鼻歌を歌う。

 「今度のテストで、結果、出せるといいなぁ」

 私は、夕暮れの空を見上げる。私達は、軽い昼食をとるとき以外、ずっと勉強していた。

 「大丈夫だ。俺が教えてやったんだからな」

 晴斗が、偉そうに口を利く。でも、その顔はやっぱり笑っていた。