――日曜日。

 私は、紺のワンピースを着て、いつもの場所で待機していた。鞄の中には、勉強道具がきっちり入っている。

 「おはよう。沙月」

 今日の一番乗りは、まさかの晴斗だった。……翔より早いなんて。

 「あ、晴斗!おはよ」

 「沙月……、おまえ、可愛くなったな!」

 「……!!きゅ、急に何を言ってるの⁉」

 晴斗はにこにこしながら、私の頭をポンポンってしている。

 「本当のこと、言っただけ」

 「沙月、晴斗、おはよ」

 翔がやって来た。翔も私服を着ていた。

――翔は相変わらず、かっこいいな。

 もちろんよく見るわけだが、そう思ってしまう。

 「翔!」

 私は、翔の所へ駆け寄った。

 「おはよう、翔!今日は……その、ごめんね?」

 「なに、気にしてんだ。冗談だよ」

 「翔……ありがと!」

 すると、突然、後ろの方へと引っ張られた。

 「え?」

 なにが起こった?と思ったら、晴斗の腕の中にいた。

――この状況は、マズインデハ……。

 「おい、沙月。おまえ、こっちにいろ」

 晴斗が強引に私を横に立たせ、翔を睨んだ。

 「な、なんだよ」

 翔が不思議そうな顔をしている。

 「おっはよー!今日も遅れちゃった……ってどうしたの?」

 険悪な雰囲気に気付かない葉月が、のほほーんとやって来た。

 「う、うんん。何でもない。じゃ、行こっ!」

 今日は近くの図書館で、お勉強。大好きな仲間とともに勉強をするんだ。

 「みんなは、元気だった?」

 唐突に晴斗が二人に話しかける。

 「あ、うん。元気だったよ」

 「お、おう」

 翔と葉月がぎこちなく返事をする。

――ま、そうだよね。急に明るくなってさ。

 夏の日差しに当たりながら、図書館へ向かう。ここから、とても近い場所にある。だから、すぐに着く。

 「さ、図書館に着いたぞ!いい点とるために、頑張るぞー!」

 晴斗が明るく大きな声で、そう言った。