そのような出来事があり、今この状態なのである。

 「それで……、決めてくれた?沙月」

 「うん。決めた」

 私は力強くそう言った。

 「もう一回、言うよ?」

 「うん」

 告白を受けるみたいで、ドキドキしてしまう。……いや、告白なんだけど。

 「俺と一か月でいいから、付き合ってくれますか?」

 「はい!」

 私は笑顔でそう言った。まだ、晴斗がどんな思いでいるのかわからない。

 でも、付き合うことになったら、晴斗に何があったか分かるかもしれない。そのような意味で、私は付き合うことにした。
 
 「そっか。ありがと、沙月」
 
 ふいに晴斗の顔を見上げると、すっかり穏やかな顔をしていた。そして私と恋人つなぎをする。
 
 ためらいがちの私の手を優しく、安心させるように握った。
 
 「じゃ、一緒に帰ろう」
 
 「うん」
 
 私は、晴斗と教室を並んで出た。それから、私達はたくさんお話をした。
 
 「晴斗はどうして、さっき、あんな怖い顔をしてたの?」
 
 「怖い顔?うーん、どうしてだろう?」

 「ま、いっか。これからは葉月とも翔とも仲良くしてくれるよね?」

 「もちろんだよ!」

 「そっかぁ……ふふっ」

 私は、小さく笑った。