私は教室の戸を開けるなり、急いで中に入った。 「やぁ、沙月。久しぶりだね。来てくれないかと思ったよ」 そこにいたのは戸崎晴斗。教卓の上に足を組んで、座っている。 「晴斗……」 「沙月。話した内容は覚えてる?」 昼間とはうって変わって、よく喋るし表情もくるくると変える。 「うん、覚えてる……」 それは、今日の昼休みのことだ。