外に出ただけで自然と額に汗が滲んでしまうこの季節は、この辺りに来る人はほとんどいない。


そんな桜の木の下のベンチは私の特等席だ。


目を閉じると色々な音が聞こえてくる。


風に揺らされて掠れる葉っぱの音、懸命に生を叫ぶ虫の声、音楽室の窓から漏れる昼練に明け暮れる吹奏楽の楽器の音色。それから、



カシャーー……。


え……?


ふいに、すぐ近くでシャッター音のようなものが聞こえた。

驚いてぱちりと目を開けば。


「あ、バレちゃった?」