元気のいい声が聞こえて来てカウンターの奥へ視線を送ると、そこには高校生くらいの小柄な少女が立っていた。

少女の笑顔にハッと息を飲む。10年以上前ここで出合った少女の面影がそのままダブって見えたからだ。

けれど、10年前ここで働いていた少女がそのままいるワケがない。

そう思い直し、明美は落ち着いてカウンター席に座った。

「なにになさいますか?」

少女は明美にお冷を出して、そう聞いた。