冷たい人たちだと感じてしまった。

自分はまだこんなにあの人の事を愛していて、この苗字を続けて行くつもりなのに、あの人たちはなにもわかっていないと感じてしまった。

それから明美は少量の荷物だけ持ち、2人のアパートを出た。

明美にとって、旦那との記憶を辿る旅行が生きてく上での力となっていたのだ。

けれど、思い出はだんだん少なくなっていく。

1年半かけてここまでたどり着いた明美の中には、もうほとんど生きてく力は残っていなかった。

それと比例するように、旦那の元へ行きたいと願う気持ちは日に日に強くなってきていた。