けれどそれも10年ほどで途絶えてしまった。

朝いつものように会社へ向かった明美の旦那は、そのまま家に帰って来ることはなかった。

旦那の代わりに帰ってきたのは、悲しい訃報を知らせる警察からの電話だった。

旦那はいつも通り電車に乗り、会社の最寄駅で下車した。

そのまま歩いて会社へ向かっている途中、車に撥ねられたらしい。

相手は一晩中酒を飲み、泥酔状態だったと言う。

明美はこれまで何度も飲酒運転で捕まった人物をテレビの中で見て来た。

その度に怖いと思っていたが、それが自分の身近で起こる事件になるなんて、ちっとも考えてなかった。