「なぁ……今日も面接もダメだった」

ふと、静かになって幸太郎は言った。

「でも、まだ決まってないんでしょ?」

「そうだけど、もう感覚でなんとなくわかるんだよ」

そう言うと、妻は木製の筆箱を見つめたまま黙り込んでしまった。