ひと通り雑誌を見終えるとようやく顔を上げて息を吐き出した。

集中していたからか、ひと仕事終えたような気持ちになる。

幸太郎は自分の手のひらを見つめた。

力仕事をしている人たちに比べれば薄っぺらいかもしれないが、今まで働いてきて随分とごつくなってきたと感じる。

指の節は太くなり、爪は固くなっていて爪切りの時に気を付けないとパキッと割れてしまうようになっていた。

その手にはさっき本屋で触れた木の温もりが残ったままだった。