「あの、さっきのってなんの事ですか?」

幸太郎が、男が出て行ったドアをチラリとみてタエにそう聞いた。

相手から話しかけて来てくれたことに安堵したように笑顔を浮かべ「お客さんは知りませんか?」と、幸太郎に質問を返して来た。

「知ってるって何が?」

「黄色いレシートとか、幸せレシートとか、いろんな呼び方をされているレシートがあるんです」

タエの声の調子が明るくなるが、幸太郎は首をかしげるばかりだった。