「俺だって悩みくらいあるさ。でもきっと、その度合いが小さいからダメなんだろうなぁ」

「それはそれで幸せじゃないですか」

「まぁ、そうだけどね。じゃぁまたねタエちゃん」

男はそう言い、タエに手を振って店を出た。

幸太郎はタエへと視線を向けた。

幸太郎と視線がぶつかったタエは少し気まずそうに視線をそむけた。


幸太郎は初めての客だから、どういう風に接すればいいかわからない様子だ。