「お好きな席へどうぞ」

タエにそう言われて、幸太郎はなんとなく真ん中の席を選んで座った。

そこでこの店にはBGMが流れていない事に気が付いた。

今頃はどんな店でも色んなBGMがかけられているから、こういう店は珍しい。

そう思っていると、今度は波の音が聞こえて来た。

耳を澄ませてると、その音は次第に大きくなっていくように感じられ、それがほどよいBGMになっていることにも気が付いた。

なるほど。