「みんな知ってるよ」

友がタエを抱きしめたままクスクスと笑ってそう言った。

「みんなって!?」

タエは驚き、友から身を離して聞いた。

「タエと一緒に働いている人や、常連客さん」

「みんな……」

茫然としてしまう。

けれど、みんなはタヌキであるタエを受け入れてくれていたということだ。

「タエはそのままでいいんだよ。人間が好きなタエの事を、みんなも大好きだから」

優しい友の声がタエの胸にしみこんで行ったのだった。