友から好きだと言われてとても嬉しくて、もうそれでいいじゃないかと思ってしまった。

両想いになれたらきっと今よりもっと嬉しいと思う。

けれど、人間から好かれるという事はタエにとって人生を揺るがすほどの幸せだった。

「ゆっくり考えて」

友がタエの頭から手を離してそう言った。

去っていく友の手が恋しくて、タエはようやく顔を上げた。

見ると、友は傷ついたような、悲しげな表情を浮かべていた。

その表情にタエの心が痛む。