口ごもるタエに、友がふと思い出したように大学の鞄を開けた。

「そう言えば、これをタエに上げようと思ったんだよ。まさか今日会えるとは思わなかったから、忘れてた」

そう言って差し出されたのは可愛いタヌキのイラストが描かれた短い詩だった。

サイン色紙に丁寧に書かれた文字が、友のものだ。

《君がタヌキでも、好きって言っていいかな?》

男の人にして丸っこくて可愛い文字でそう書かれている。