幸太郎は閉店した店の窓の向こうからタエに向けて手を振っている。

タエは涙をぬぐい、外へ出た。

「こんな時間にどうしたんですか?」

「タエちゃんにどうしてもこれをあげたくてね」

幸太郎はここまで走って来たようで、息を切らしている。

その手のひらにはタヌキを模った木のストラップだった。

「え、これをあたしに?」